
今回のスポコン漫画は前回お約束した通り、タイガーマスクの主人公・伊達直人を取り上げます。その存在はあくまでフィクションですが、私は人として大切なことを彼から、かなり教わったような気がします。エピソードを紹介しながら、色々と述べてみたいと思います。
アニメ版のエピソードで直人が養成所・虎の穴にいた頃の話です。友人二人が鞭で打たれ続け死にそうになっていた時、彼はコーチに申し出ます。「俺を代わりに打て」と。二人をかばって鞭攻めにあう直人。友人は「直人、すまなかった」と詫びます。直人がカッコいいのはここからです。「俺は自分が強くなりたいからやっただけだ」みたいなことを言って、絶対に恩に着せないのです。
彼のこの態度は一貫していて、地獄の戦いの原因ともなった「ちびっこハウス」借金肩代わりに関しても同様です。「僕はハワイに大金持ちの親せきがいて、その遺産ががっぽり入ったから、このハウスの借金なんか、ほんのお小遣い程度…」と美しい嘘をつくのです。事実を知らない孤児達の中には「金持ちぶってるキザな奴」と心無い言葉を直人に浴びせる子もいます。それでも彼は自分の行いを恩に着せず孤児達の幸福のためにタイガーマスクとして戦い続けるのでした。
そんな直人を陰ながら支えるのが「ちびっこハウス」の若月ルリ子です。彼女は直人の幼馴染で、タイガーマスクの正体が伊達直人であるということに薄々感づいています。直人の心の拠り所はハウスの子供達の笑顔とこの若月ルリ子の存在だけかもしれません。口には出さないものの、二人の間には「愛」があるのです。
エピソードに戻ります。これは原作版・アニメ版共通のエピソードです。ゴリラに育てられた獣人ゴリラマンという大男と対戦した時の話です。猛獣のような相手を前に死を覚悟して決戦に臨む直人。試合中、ゴリラマンがマットに沈み込み動けなくなります。千載一遇のチャンスです。しかし彼は手を差し出しゴリラマンを助けるのでした。「男というのは相手の弱みに付け込むような卑怯なことは絶対にしてはいけないのだ。その後で自分がどんなに不利な状況に陥ろうとも…。馬鹿正直と笑われようとも…」
人の愛に触れたゴリラマンは涙を流し戦意を喪失してしまいます。しかし自分と戦わなければ虎の穴から命を狙われてしまうと知っていた彼は「来い」とファイトを促します。
正直言うと、私はここまですごい人間にはなれません。足元にも及ばないかもしれません。だから伊達直人は永遠の憧れなのかもしれません。
伊達直人にはまだまだ数えきれないほど様々なエピソードが存在するのですが、切りがないので最後に彼を語るうえで絶対に外せないエピソードをご紹介します。とりあえず、アニメ版に沿って解説します。
直人が巡業先で「希望の家」という施設にたくさんのプレゼントをもって訪れた時の話です。そこで彼は一人の盲目の少女に出逢います。「俺は孤児の中にこんな運命を背負った子がいるのを知らなかった…」自分を戒める直人。何事も恩に着せない直人ですから、そのプレゼントも自分ではなく誰かに頼まれたものだと偽ります。「このプレゼントをくれた人は?」少女の問いかけに「それがその人、僕にも名前を教えてくれなかったんだよ」と名前を告げません。「じゃあ、あなたの名前は?」さらに問われても「僕の名前なんか聞いても仕方ないよ」と言って最後まで名前を告げないのでした。
この場面は原作版・アニメ版共にかなり有名で、タイガーマスクを知っている方なら、なんでこのエピソードを最初に持ってこないんだと思われる方もいらっしゃるかもしれません。あえてそうしなかったのは、このシーン、原作版に、アニメ版が唯一勝てなかったすごい重要なポイントがあるからなのです。
原作版では「希望の家」を訪れた時、直人はタイガーマスクの覆面をつけています。つまり有名人として来訪するのですね。荒廃した「希望の家」はとても「希望の家」と言えるような状態ではありませんでした。「俺は甘かった。お土産を与え遊んでやるつもりだったが、そんなのは有名人気取りだった。可哀想な孤児はちびっこハウスの子供達ばかりじゃないんだ」その上でさらに、盲目の少女の存在を知らされるのです。 「俺は馬鹿だった!! ちびっこハウスの子供達だけを幸せにしてやって、それでいい気になっていた。ハウスを買い戻してやり、テレビを買ってやり、今度はプールまでつくってやることにして、それで日本中の孤児達を幸せにしてやったと思いあがっていたなんて…」タイガーは地面を叩きながら号泣します。「タイガー、おまえの馬鹿さ加減には愛想が尽きた!!」
これ、すごい場面ですよね。こんな深いところまで突っ込んで「人間愛」を追求するなんて、生半可な文学作品じゃこの作品に勝てないんじゃないかな。と、思ったりしました。
今回はかなり長くなってしまいましたが、原作版には電子書籍もあり、アニメ版DVD全4巻も比較的お求めしやすい価格で出ております。絶対に見てほしい作品なので絶対にお勧めします。
「タイガーマスク」取り扱いサイトはこちらをクリック!!






